SNS(ソーシャルネットワークサービス)が私達の生活に浸透して10年以上が経ちます。現代の10〜20代の若者は、幼い頃からデジタルデバイスやインターネットに触れており、SNSの使い方も当たり前のように知っている子供がほとんどでしょう。しかし、SNS上にはサイバー犯罪者による様々な罠が仕掛けられており、特に未成年者を狙った犯罪は絶えません。今回は、子供がSNSを利用する際に実際に起こったトラブル事例を紹介するとともに、サイバー犯罪や事件に巻き込まれないために実行するべき防止対策についてご紹介します。
近年、増え続けるSNS上でのオンライン犯罪
21世紀に入ってインターネットが一般的に利用されるようになり、加えてスマホも急速に普及しました。しかし、世界中の人々がインターネットに触れる機会が日常化していることもあり、オンライン犯罪の数も増加しています。さらにはサイバー犯罪者達の手口も日を追うごとにより巧妙化しており、多くの人が対策に頭を悩ませています。
インターネットを悪用したオンライン犯罪は世界中で増え続けており、警察庁の国内サイバー犯罪レポートによると、令和5年度のフィッシングによる犯罪やクレジットカードの不正利用による被害額、オンラインバンキングの不正送金による被害額など多くの項目が過去最多となっており、これまでのサイバー犯罪の検挙人数も過去最高を記録しました。一方、ここ数年、子供をターゲットにしたSNSを悪用した犯罪事件も年間約2000件ほど起こっています。しかし、この数字はあくまでも氷山の一角に過ぎず、実際の数字はこれよりも多いことが予想されます。
オンライン上の犯罪には様々な手口が存在します。現在もよくあるDDoS攻撃やウイルスなどを使ったオンライン犯罪は、1980〜90年代に既に存在していたものの、まだインターネット利用者自体が少なかったこともあり、一般的な被害は最小限にとどまっていました。しかし、2000年代に入ってADSL回線や光回線が普及したことによって一般家庭でもインターネットが日常的に使用されるようになると、それに合わせてオンライン犯罪またはサイバー犯罪が一気に増加しました。そしてこの頃、連絡手段が電話や手紙から電子メールに変わったことによって、それに付随したインターネットウイルスをはじめとする様々なマルウェアを使って各デバイスの脆弱性を狙うオンライン犯罪が増えました。マルウェアは各デバイスやシステムの脆弱性を見つけて侵入し、機能不能にさせるだけでなく、個人情報が盗み出されてしまうなど非常に厄介であり、いまだに様々なウェブサイトや詐欺メールに悪用されています。
また、ここ10年程で公官庁や大手企業を狙った大規模なサイバー攻撃が度々ニュースで取り上げられる頻度が増えています。一般家庭でもIoT技術を活用したスマート家電やスマホ、パソコン、タブレットなど様々なデバイスを利用することが当たり前となっていることもあり、サイバー犯罪者達にとってはより多くの悪事を働くことができる環境が整っています。なかでもゲームやSNSを通してオンラインセキュリティに関する知識がまだ乏しい子供を狙ったオンライン犯罪は非常に多く、これまで様々なジャンルの事件が起こっています。
SNS上で子供に関連したトラブル事例
未成年の中でもSNSに熱中するユーザーは非常に多く、これまで様々な事件が起きています。こちらでは、過去に発生したSNS上での子供に関連するトラブルの事例をまとめました。
個人情報漏洩
インターネットセキュリティについて何も知らない子供がセキュリティ面が脆弱なWi-Fiに接続したり、怪しいウェブサイトなどを閲覧した結果、マルウェアなどに感染してしまい、個人情報が漏洩してしまうということは頻繁に起きています。特に子供が親のスマホや社用パソコンなどのデバイスを利用してうっかりアクセスしてしまったら勤め先にも影響が出る可能性が高いです。
ネットいじめ
子供同士によるいじめはどの時代にも深刻な問題ですが、最近はネットいじめと呼ばれるSNSを含むオンライン上での嫌がらせ行為も頻繁に起こっています。これまでのネットいじめの特徴としては、ウェブサイトや特定の学校に関する掲示板などに書き込みを行うことが一般的でしたが、現代では学生の間にSNSが浸透していることもあり、SNS内で行われることが多いです。SNS内でネットいじめが発生すると、不特定多数の人が閲覧できたり、なかには削除しない限りは半永久的に残る場合もあるため、被害者が受ける精神的なダメージはより強く、過去には自殺に追い込まれた学生も存在します。一方、加害者のほうは相手の顔が見えないため、実際のいじめよりも罪悪感が低く、面白半分で行っている場合があり、知らないうちにエスカレートしてしまう危険性があります。
性犯罪
SNSを通して子供が被害に遭いやすいのが性犯罪です。特にSNS上でコメントやメッセージを送って未成年に声をかけて実際に誘い出したり、恥ずかしい写真を送るよう指示してそれを使って恐喝するなど、これまで様々な性犯罪事件が起きています。子供はまだ物事の良し悪しを理解できておらず、大人にいわれたらその通りにする従順な部分をうまく悪用されてしまうケースが多く、日本に限らず、どの国でも社会問題となっています。
詐欺
フィッシング詐欺などオンライン上での詐欺も子供が被害に遭いやすいトラブルの一つです。特にSNS上で未成年を言葉巧みに騙して、高額商品を買わせるなど金銭的な被害を被ってしまったなどという話はよく耳にします。また、SNSを通してフィッシングサイトなどへ誘導してSNSのパスワードやクレジットカード番号などの情報を盗む手口も非常に多いです。
なりすまし
SNS上で被害者のアカウントのパスワードを盗み、本人になりすまして様々な悪事を働く行為も後を絶ちません。未成年者の場合は、気を付けなくてはいけないのはサイバー犯罪者だけにとどまらず、学校の同級生などにアカウントを勝手に使用されてしまうようなネットいじめも起こっています。
ネットストーカー
SNS上で特定の人物の投稿などの情報を追い続ける人のことをネットストーカーと呼びますが、被害者が未成年の場合も少なくありません。特に10代の若い女性は執拗にメッセージが送られてくるなどの被害は多く、最悪の場合は実際に待ち伏せされるなどリアルなストーカーに発展する危険もあるため、SNSでのプロフィールや投稿内容の公開範囲には注意が必要です。
これらのトラブルが起こってしまう要因としては、子供自身がSNSの適切な使い方を知らないという部分が大きく、自分の子供が被害に遭わないためにも保護者はオンライン上でのセキュリティ対策をしっかりと教える義務があります。
SNS上で子供を守るためのセキュリティ対策
こちらでは、SNS上で子供がトラブルに巻き込まれないために実行するべきセキュリティ対策について解説します。
子供が使用できる範囲を設定する
子供が間違えてマルウェアなどが仕込まれたウェブサイトへアクセスしないようにあらかじめ、使用範囲を設定しておくのも良い判断といえます。もし、お使いのスマホに親が子供のスマホを管理できるペアレンタル機能などがある場合は、利用しましょう。
公共のフリーWi-Fiを使用する際はVPNに接続する
一般的にカフェや駅などの公共のフリーWi-Fiは、セキュリティ面が脆弱なため、サイバー犯罪者のターゲットとなりやすいです。しかし、公共のフリーWi-Fiを利用する際はVPN(仮想プライベートネットワーク)に接続することで安全性をより高めることができます。VPNは、お使いのデバイスに接続することでインターネット通信を暗号化し、IPアドレスを外部から隠すことができるため、サイバー犯罪者など第三者に盗み見られる心配がなくなります。
SNSで公開する情報を制限する
SNS上で投稿した写真にうっかり住所や大事な情報が写りこんでいる可能性などがあるため、投稿を公開する前に個人情報が漏洩していないかをもう一度確認する意識が大切です。また、子供がSNSを利用している場合は、プロフィールでも電話番号や住所、学校などを公開していないかを保護者がしっかりと確認するようにしましょう。
友達にもパスワードなどの個人情報は教えない
たとえ、一番仲の良い友達の場合でもSNSをはじめとするオンラインサービスのパスワードなどは決して教えてはいけません。自分自身はしっかりとセキュリティ対策をしていたとしても友達の不注意などで漏洩する可能性があるため、保護者はできるだけ外部に教えないように子供に意識させましょう。
なるべくオンライン上で知り合った人と会ったり、連絡を取ってはいけないことを伝える
学校の友達など、以前からの友達ではなく、SNSで初めて知り合った人と会うのは危険が伴います。子供がSNS上で知り合った人と連絡をとっていたり、会っていないかを定期的に確認する必要がありますが、子供のスマホを確認するのはなかなか難しいと思います。もちろん、保護者は子供にSNS上でのメッセージには注意するように指導する義務があります。そして、子供の変化に気づくためにも普段から子供とコミュニケーションをとる習慣は忘れないようにしましょう。
まとめ
今回は、子供のSNS利用にまつわるトラブル事例と被害に遭わないための対策を紹介してきました。現在、オンライン上のサイバー犯罪は巧妙化し続けており、私たちの身の回りにも常に存在しています。子供達がサイバー犯罪者達が仕掛けた罠に引っかからないためにも、保護者は日々の生活の中でSNSの正しい使い方を教え、子供のオンライン上での安全面を管理する必要があります。特にマカフィーが提供しているマカフィー+はオンライン上の脅威を防ぐための様々な優れた機能が使用できるため、最もおすすめの総合的なセキュリティ対策といえます。オンライン上で子供達を保護するためにも、今回紹介した事例を参考に家族で話し合ってそれぞれの家庭で最適なセキュリティ対策を実行してみましょう。